【論文】油入変圧器におけるアセチレンの減少挙動

<概要>
油入変圧器の油中ガス分析による異常診断では、分解ガスのパターンや組成比から過熱や放電などの異常の種類を推定しており、ガスの増加速度から異常の規模を判断できる。分解ガスの中で、アークや部分放電などの高温熱分解時に発生する特徴的なガスとしてアセチレンが重要視されており、電機共同研究会の指針では、アセチレンが微量でも検出されれば追跡調査を実施することとしている。
アセチレンに関するこれまでの研究では、主に以上の種類と生成ガスの組成、あるいは放電エネルギーと発生量の関係などについて数多く検討されており、また実器におけるアセチレンの挙動については、油中アセチレン濃度は経時的に減少する場合があることが報告されている。

本稿では、油中ガス分析による油入機器内部診断時に重要な判断指標となる油中アセチレン濃度が、経時的に減少する現象について検討した。まず、実器の油中アセチレン濃度の現象が、漏れや油温変動によるものではなく、変圧器内部材料との化学反応によるものと考え、1次反応の速度式で解析し、実器の油中アセチレンのうどの掲示変化をよく近似できることを明らかにした。次に、アセチレンを溶解させた絶縁油を銅共存下で加熱した際の油中アセチレン濃度の現象挙動も1次反応の速度式で近似できることを確認するとともに、アセチレン溶解油中で過熱したあとの銅片資料をX線光電子分光法で分析することにより、アセチレンと同の結合状態について検討した。最後に、異常現象によるアセチレン全発生量の推定法及びアセチレンの低濃度測定の重要性等について検討した。

電気学会論文誌B Vol.119 No.1 pp. 54-62

タイトル:
「油入変圧器におけるアセチレンの減少挙動」
著者:
大野高宏(東京電力), 石井敏次, 片山正美, 月岡淑郎(ユカインダストリーズ)
DOI:
https://doi.org/10.1541/ieejpes1990.119.1_54

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