【論文】10MVA変圧器のタンク振動解析

<概要>
電力機器の長期運用が求められる中、異常診断、劣化診断の高度化が要望されている。変圧器の診断手法として、油中ガス分析やフルフラール分析や電気的手法など、さまざまな方法が適用されてきた。

近年、巻線間のプレスボードが劣化して体積収縮を起こし、巻線締付力が低下し、突発的なサージや地震などによって巻線がずれるといった現象が問題視されている。診断には周波数応答解析(FRA)の適用が検討されているが、FRAは稼働中の変圧器への適用が難しい。また巻線のずれや変形が起こる前段階の巻線締付力低下をとらえることは困難である。
振動を用いた診断手法も多方面で利用される方法である。変圧器の主な振動は、コイル間に働くローレンツ力や鉄心に働く磁歪現象によって起こり、電源周波数の整数倍の周波数を持っている。従来の研究では、この電源由来の周波数成分に注目して検討がなされてきた。

一方で、巻線を銅線とスペーサプレスボードが交互にかさなったバネのような構造と見立てた場合、その固有振動は、変圧器中身の締付力変化や構造物の変位を反映すると考えられる。このような視点から、振動センサで変圧器の振動を測定したデータに対して振動解析を行った。その結果、A.電源由来の振動成分、B.構造由来の振動成分、C.変圧器設置建屋振動成分の3つの成分からなることが分かり、内部の構造由来の振動を検出することができた。本論文では、これらの振動成分の測定結果および解析結果について報告する。

電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) Vol.138 No.2 pp. 158-165(2018年)
タイトル:
「10MVA変圧器のタンク振動解析」
著者:
北川寛, 荻原慧, 松本聡(芝浦工業大学)
小西義則, 加藤雅道, 長谷川真之
久野勉(新日鐵住金)
DOI:
https://doi.org/10.1541/ieejpes.138.158

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